夜明けのビッグバン
<p>今週のお題「爆発」</p>
いきなり告白の話になった。
「はじめて人を好きになった。今年中に気持ちを打ち明ける」みたいなことを同僚が言うのだ。
ファミレスには深夜の眠気が漂っている。僕たちのほかに客はいない。
ビッグバンの話を続けたかった僕は、(さりげなく無視するために)ドリンクバーに向かった。
同僚はついてきた。
「向こうも俺のこと好きだと思うか?最近よく目が合うんだ。この前は誕生日にハンカチをもらった」
という意味の言葉を背後から投げてくる。
「爆発しろ」と僕は思った。
席に戻ってすぐ寝てしまう。
突っ伏す僕に同僚はしゃべり続けていたらしい。
店の外に明け方を背景に電話をかけている同僚が見えた。
広がる笑顔も。
それから彼とは疎遠になる。
僕とは別の宇宙に行ってしまったのだ。